【報告】創造海岸いなげ展

8月9日(火)~21日(日)、企画展「創造海岸いなげ展」を開催しました。

今年で4回目を迎える本展では、クライマーの視点で捉えた独自の街に対する感覚を、写真やインスタレーションで表現する菊地良太さん、レリーフの技法を用いて、木材の風合いを生かした味わい深い作品を制作する橋本桐子さん、植物や自然の美しさを、油絵や色鉛筆等で、生き生きと表情豊かに描く水谷真弥子さんの3名をご紹介しました。ジャンルは全く異なりますが、3名共に日々の暮らしや風景の中に美しさや楽しさを見出し、それを確かな表現力で作品にされています。

●菊地良太さん(第一展示室)

菊地さんは、高校時代から続けているクライミングの身体感覚を自身の表現に取り入れています。クライミングでは、岩場を観察し自分のルートを開拓するオブザベーションという用語があるそうです。岩に「線」を引いていくようなこの行為を、菊地さんは見慣れた街の風景の中で実践します。建物や橋、街灯、モニュメント、川、木などの形状や線の美しさを改めて見直し、実際に自分で登ったり、ぶら下がったりすることで、地元千葉を中心に郊外の都市の景色に新しい価値を見出そうと試みています。

宇和島の海に架かる巨大な橋でブランコをしている壮大な作品「swing-uwajima」をはじめ、写真に写る人物はすべて菊地さん自身です。アスファルトの上でスノーエンジェルを作ったようなインスタレーション「line」は、大自然の中でクライミングを楽しむように、日常の街の人工的な風景にも分け隔てなく同じ視線を向ける菊地さんの感覚がよく表れた作品になっています。

 

●橋本桐子さん(第二展示室)

橋本さんは、木材にレリーフを施した作品を中心に制作しています。コイン、建築物の壁などに施されるレリーフは、装飾のために、平面に対してノミや彫刻刀で半立体的に浮彫りあげるのが代表的です。橋本さんの作品では、様々な木の木目や質感を生かしながら、木の表面を彩色し、彫刻刀で浅く彫ることで、抽象画と工芸の間を行き来するような独自の表現を試みています。

「G.G」は、繊細に彫られた表面が木漏れ日のように見えたことから、Greenの頭文字をとって名付けたそうです。また、自宅の擦りガラスから見える風景から着想を得た「Mado1-4」など、橋本さんの作品は見る人によって印象の異なる豊かな余白が感じられます。

 

●水谷真弥子さん(第三展示室)

水谷さんは、植物を主なモチーフに油彩の技法でいきいきと描いています。特に、最近では生活の中でふと目にとまった何気ない風景に美しさを見出し、透明感のある色の重なりとにじみ出るような油彩の表現を通して、みずみずしく温かみのある表現を洗練させています。

本展に向けて制作された<つちうるおう>は、水谷さんの自宅近くの道で発見した景色を基に描いたそうです。きらきらとした日差しとしっとりした草陰の対比が印象的で、他の作品と共に、みずみずしく暑い夏の空気を感じさせてくれます。

 

最終日21日には菊地さん、橋本さん、水谷さんの3名によるミニトークを行いました。

同時開催の「千葉市中学美術部展」の美術部の皆さんが参加してくださり、

千葉のアーティストと中学生の交流の場にもなりました。

 

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