1月4日~15日、企画展「藤澤保子 漆芸の展開Ⅲ」を開催しました。
柿・蘇芳染・蒔絵盒「華やぐ」刳物(柿)、研出蒔絵、鮑貝微塵
楢・亀甲形飾箱「調和・緊張を」指物(楢)、研出蒔絵、置平目
チーク蒔絵飾箱「塊・包む」指物(チーク、檜)、研出蒔絵
蒔絵手箱「奔流」指物(檜)、研出蒔絵、螺鈿(鮑厚貝)、置平目
欅盛器「地・にぎわう」刳物(欅)、朱漆、蝶(鉄刀木)
黒檀・八角飾箱「揺るぎない間」指物(黒檀)、摺漆、研出蒔絵、螺鈿(玉虫貝)
丸文蒔絵飾箱「流転・平衡」指物(檜)、研出蒔絵、卵殻(鶉)、青貝微塵(玉虫貝)
乾漆盛器「共鳴」乾漆(麻布、和紙)、研出蒔絵、青貝微塵(玉虫貝)
六角飾箱「静謐の瞬き」指物(鉄刀木)、朱洗い出し
蒔絵色紙箱「流麗」指物(檜)、研出蒔絵、緑色乾漆粉
楢・蒔絵飾箱「燎原輝く」指物(楢)、研出蒔絵、鮑貝微塵、置平目
流水文蒔絵茶箱「秋色」指物(檜)、研出蒔絵、平文、吸い上げ
欅・盒「思い出を抱いて」刳物(欅)、摺漆、研出蒔絵、
柿・盒「時の積層を拓く」刳物、摺漆
根來鉢「明かりの源が」刳物(栃)、本朱、洗朱
黒柿・蘇芳染・蒔絵盒「薄暮たなびく」刳物(黒柿)、研出蒔絵、青貝微塵
欅刳盛器「小軌道」刳物(欅)、研出蒔絵
漆文化の研究者であり、実作者である藤澤保子さんは、素材の選定・木材の加工・漆塗り・蒔絵や螺鈿などの加飾といった通常は分業で行うすべての工程をご自身の手で行っています。また、大学時代にはデザインと漆芸を学んだ藤澤保子先生は、完璧な技法と斬新なデザインや様々な素材を用いて、漆の新たな可能性を探求し続けています。
今回で3回目となる本展では、多様な素材と技法からなる作品18点を展示いただきました。会期中の1月8日には藤澤先生ご本人によるレクチャー「作者が語る漆の魅力」を開催。作品制作の工程や道具のご紹介から、漆や木材の生産についてなど、様々な角度から漆芸の魅力についてお話しいただきました。
さらに今回は会期を同じくしてロビー展、千葉大学教育学部名誉教授の藤澤英昭先生による「ちょっと面白い木工刃物」展を開催しました。藤澤英昭先生は、長年同大学で美術教育の研究に携わる傍ら、各地の骨董市をまわり日本の鍛冶屋職人が制作した優れた木工道具を収集してきました。さらに、その知識を得て、ご自身でも様々な道具を自作、リメイクされています。今回のロビー展では木工の刃物をお借りし、ご紹介しました。
様々な用途、サイズに合わせて個別に作られた鉋(かんな)や切り出し刃
溝鉋(雨戸滑らせる溝専用)、槍鉋(板材や角材などの加工に江戸時代に使われていたもの)、面取り鉋(角材や机などの端専用の鉋)などが並んだ。
中央の大きな鋸は「オガ」、手前は「手斧」、右奥には「繰り子」という手動のドリルなども。
右の展示ケースは「樽錐」という酒樽に穴をあけるときにつかう錐
下駄屋鑿という下駄の足と足の間を削る鑿
藤澤英昭先生自作の尺金改良版。丸太の断面にあてるだけで、円の中心や、直径を求めることができる。