1月5日~17日に千葉在住の漆芸作家・藤澤保子さんの作品展を開催しました。
藤澤保子さんは木材の選定から木地の制作、漆塗り、蒔絵や螺鈿といった加飾に至るまで、通常は分業体制で行う漆芸の工程をすべてご自分の手で行っています。
昨年度に引き続き開催させていただいた藤澤さんの第二弾の展覧会では、新作を含め様々な木材と技法で制作された作品17点をご紹介しました。
ローズウッドの赤い心材と辺材のグラデーションが美しい指物
木目を生かした螺鈿による斬新なデザインの器
貴重なオリーブの木を刳り貫いて制作した飾り箱
高蒔絵という蒔絵の中で最も難しい技法を施した飾り箱
“とらふ”という木そのもの模様を生かした飾り箱
乾漆という布と和紙を漆で何層も固めて制作された器
大小の蒔絵の線のリズムがかわいい小箱
ナタで割り出したへぎ目と側面の鋸目のバランスが絶妙な入れ物
ツタンカーメンをイメージした螺鈿と蒔絵によるデザインが斬新な作品
蘇芳という植物で赤く染めた楢の木の飾り箱
希少な黒柿を用いた作品
栓と檜の木を交互に組んだ飾り箱
漆黒の美しさが際立つ市松模様の器
心材の一部が炭化した柿木を用いた作品
吸い上げという漆芸でしかできない独特で高度な技法を用いた蒔絵箱。光の加減で黒の漆塗り部分に紋様が浮かび上がる
青貝微塵と金の蒔絵を用いて、着物の片身替わりを意識してデザインされた飾り箱
お一人の作家さんが制作されたとは思えないほど、広い表現の幅と完璧な技法による作品に、
来場された方の多くが驚かれていました。
また、会期中には漆の研究者でもある藤澤保子さんのレクチャーも1月10日に開催。
作品の制作工程や漆の魅力について、道具や材料を見せていただきながらお話しいただきました。
藤澤保子さんの作品展は来年も開催予定です。