千葉市埋蔵文化財調査センター+ギャラリー・いなげ ミニ企画展開催中

ここ2~3日の間にずいぶんと寒くなりましたね。

千葉市民ギャラリー・いなげの庭園は、ようやく紅葉の時期を迎えるところです。

今日は現在ギャラリー1Fロビーで開いている千葉市埋蔵文化センターとのミニ企画展「陶器のはじまり~千葉市で発掘されたうつわ~」をご紹介します。

千葉市の遺跡というと、加曾利貝塚をはじめ縄文時代の遺跡が思い浮かぶかもしれませんが、古墳時代の遺跡や遺物が残っていることはあまり知られていないように思います。今回のミニ展示では、市内で出土した古墳時代の「うつわ」の中から、「陶器」の元となったものを多数紹介します。(しかも破片ではなく元の状態を維持したものです!)

ロビーの一角で開催中です

昔も今も生活に欠かすことのできない「うつわ」には様々な種類がありますが、古墳時代の「うつわ」はいったいどのようなものだったのでしょうか?

どれも手のひらサイズの小さなうつわ

写真の4つのうつわはどれも古墳時代中・後期に使われていたものです。蓋付の丸いうつわは、食器や保存容器、あるいはお弁当箱のように使われていたのかもしれません。

この4つのうつわ、よく見ると手前と奥で色が異なるのがわかるでしょうか?

奥の器はちょっといびつ

奥は「土師器」といい、縄文時代からの製法で作られた土器です。地面に穴を掘って野焼きしたものなので、土が酸化し赤褐色になります。

手前は「須恵器」といい、古墳時代に朝鮮から伝わった製法で作られた土器です。こちらは、窯をつくって密閉して焼くため、酸素が欠乏して青灰色になるのだそう。

古墳時代には、この二つの器が主流ですが、窯をつかってつくる「須恵器」は高級品、一般市民は「土師器」を使っていたようです。

ですが、どちらもよく似た大きさ・形で作られていますね。(おそらく奥の土師器にも蓋がついていたのでしょう。)

埋蔵文化財調査センターの方によると、「土師器」を作っていた職人が「須恵器」への憧れから同じ形を真似してつくったということです。

なんだか、器の裏に隠れた人間模様が見えるようで興味深いですね。

続く写真の器は、古墳時代末期(飛鳥時代?)に使われていたもの。

今の鍋や食器は蓋のふちに段がついていますが、古墳時代は逆のようですね。右は現代の食器に近い形をしています。

先ほどのうつわと比べると、器のふちにあった段(蓋をかぶせる部分)が浅く、あるいはなくなり、簡略化されてきているのがわかります。

うつわの需要が増えて、効率を優先したつくりになってきたようです。

さて、ここまで「うつわ」に触れてきましたが、古墳時代に「陶器」とされるものがあったのでしょうか?

そもそも「陶器」とはなんだろう?…ということですが、現在は「土からつくられ、釉(うわぐすり)が塗られたもの」を指すことが多いようです。

下の須恵器は壺の一種ですが、注ぎ口のあたりが白く変色しています。

大きく見えますがどの壺も大きなリンゴくらいのサイズです。中央の穴に細い竹をさして水差しにするようです。

また、もう一枚の写真の壺も、注ぎ口周辺が薄緑色でツヤがかっています。

 

どちらの壺も、窯で焼くときに偶然灰をかぶった部分が色づいたもののようです。

その後に作られたとされる下の壺は全体的に緑色のツヤがあることから、灰をかぶった部分を美しく感じた職人が意図的に釉薬として用いたのかもしれません。こうして現在にも続く「陶器」が古墳時代からすでにはじまっていたことが、今回の展示から知ることができます。

口が広く豪華な壺は古墳の中に埋葬されたもの?

このミニ企画展は、11月25日(金)まで行っているのでぜひ近くを通られる際は足をお運びくださいませ。

◆ところで千葉市にも古墳があることをご存じでしょうか?

千葉市中央区生実町(おゆみちょう)には、「ぼんぼん山」と呼ばれている山が2つ連なったような公園があります。

この「ぼんぼん山」、もともと宅地にする予定だった場所が、実は「大覚寺山古墳」という遺跡であることがわかり、公園としてそのまま保存したものなのだそうです。

古墳に限らなければ、千葉には「貝塚トンネル」と呼ばれるトンネルがあります。車を運転する方はよく耳にするでしょう。

京葉道路の貝塚IC~千葉東JCTの間にあるそのトンネルは、なんと「荒屋敷貝塚」の地下を貫通させて造られたものです。

私たちの暮らしている身近な場所には、過去の遺跡や歴史がまだまだ眠っているのかもしれません。

今では国登録有形文化財の「旧神谷伝兵衛稲毛別荘」も住民の保存運動によって残されたものですし、千葉市美術館にある「さや堂」も昭和2年に川崎銀行千葉支店として建てられた貴重な建物です。

この秋は、千葉市の身近に見られる遺跡や歴史的な建物を巡ってみてはいかがでしょうか?

yuki

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